日本のような超低金利の国の通貨を売って、トルコやメキシコ、南アフリカのような新興国などの金利水準が高い国の通貨を買うと、スワップポイントと呼ばれる収益がポジションを決済するまで毎日得られることになります。スワップポイントは「金利差調整分」とも呼ばれ、2カ国間の金利差によって発生する利益です(※逆に、低金利の国の通貨を買って高金利の国の通貨を売る場合は、金利差分のスワップポイントの支払いが発生します)。
たとえば、FXで日本円を売って高金利通貨のトルコリラを買った場合で考えてみましょう。日本の政策金利が0.1%程度であるのに対し、トルコは16%です(2021年10月時点)。
両国の間には実に16%の金利差が生じており、ポジションを建てている(保有している)間はスワップポイントを受け取ることができます。ただ、実際のスワップポイントは政策金利の差と完全に一致しているわけではなく、FX業者によっても数値に違いがあります。
目次
スワップポイントの発生タイミング
スワップポイントは、保有ポジションをオーバーナイト(ポジションを翌日まで持ち越す)しなければ発生しません。スキャルピングやデイトレードのように、その日のうちに決済する場合はスワップポイントが付与されない点に注意してください。
一般的には、ニューヨーク市場がクローズする時間をまたいでポジションを保有すればスワップポイントが付与されます。また、付与されるスワップポイントの量は日によって異なります。
国 | 政策金利 |
---|---|
トルコ | 16% |
メキシコ | 4.5% |
南アフリカ | 3.5% |
中国 | 4.35% |
ロシア | 6.75% |
日本 | -0.1% |
※2021年11月1日時点
国内FX業者名 | 南アフリカランド/円 | メキシコペソ/円 | トルコリラ/円 |
DMM FX | 買い:90円 売り:-120円 |
買い:50円 売り:-80円 |
ー |
LINE FX | 買い:8円 売り:-11円 |
ー | 買い:45円 売り:-52円 |
SBI FX トレード |
買い:74円 売り:-104円 |
買い:50円 売り:-80円 |
買い:41円 売り:-51円 |
ヒロセ通商 LION FX |
買い:97円 売り:-202円 |
買い:73円 売り:-114円 |
買い:43円 売り:-67円 |
外為どっとコム | 買い:81円 売り:-181円 |
買い:60円 売り:-110円 |
買い:41円 売り:-71円 |
外貨ex byGMO |
買い:81円 売り:-231円 |
買い:50円 売り:-200円 |
買い:44円 売り:-59円 |
GMOクリック証券 | 買い:87円 売り:-119円 |
買い:49円 売り:-82円 |
買い:45円 売り:-48円 |
Money Partners |
買い:9円 売り:-238円 |
買い:0円 売り:0円 |
買い:1円 売り:-108円 |
JFX | 買い:0.9円 売り:-2.1円 |
ー | 買い:4.3円 売り:-7.3円 |
FXプライム byGMO |
買い:79円 売り:-109円 |
買い:72円 売り:-102円 |
買い:43円 売り:-51円 |
楽天 FX | 買い:21円 売り:-30円 |
買い:21円 売り:30円 |
買い:60円 売り:-150円 |
外為オンライン | 買い:50円 売り:-300円 |
買い:90円 売り:-190円 |
買い:45円 売り:-40円 |
外為ジャパン | 買い:0円 売り:0円 |
ー | ー |
セントラル短資 FX | 買い:80円 売り:-120円 |
買い:62円 売り:-162円 |
買い:10円 売り:-40円 |
みんなの FX | 買い:80円 売り:-80円 |
買い:50円 売り:-50円 |
買い:41円 売り:-41円 |
FXブロードネット | 買い:56円 売り:-308円 |
ー | ー |
マネックス FX | 買い:21円 売り:-30円 |
ー | ー |
ゴールデンウィン・ジャパン | 買い:4円 売り:-22円 |
ー | 買い:41円 売り:70円 |
ひまわり 証券 |
買い:5円 売り:-30円 |
ー | ー |
マネースクウェア・ジャパン | 買い:20円 売り:-110円 |
ー | 買い:4円 売り:-41円 |
インヴァスト証券 | 買い:90円 売り:-190円 |
ー | 買い:50円 売り:-72円 |
上田ハーローFX | ー | ー | ー |
アイネット証券 | 買い:33円 売り:-42円 |
買い:30円 売り:-39円 |
買い:135円 売り:-177円 |
LIGHT FX | 買い:100円 売り:-100円 |
買い:70円 売り:-70円 |
買い:41円 売り:-41円 |
スワップポイントの注意点
ここでは、スワップポイントの注意点について紹介します。
マイナススワップに気をつける
スワップポイントは必ず利益を得られるものではありません。トルコリラやメキシコペソなどの高金利通貨を売り、日本円のような低金利通貨を買うと、その金利差を逆に支払わなければなりません。これをマイナススワップと呼びます。長期保有をすればするほど支払う金額は大きくなるので、マイナススワップには十分注意しましょう。
スワップポイントで得た利益も課税対象となる
スワップポイントで得た利益は為替差益で得た利益と同様に課税対象となります。また、個人口座か法人口座によって、課税されるタイミングが異なります。法人口座の場合はスワップポイントが付与された時点で課税対象となりますが、個人口座の場合は付与されたタイミングではなく、決済して実際に受け取ったタイミングで課税対象となります。
高金利通貨は為替変動リスクが高いケースも
スワップポイントが魅力の高金利通貨ですが、このような通貨は為替変動リスクが比較的高いケースもあります。
トルコリラやメキシコペソなどは新興国通貨とも呼ばれ、今後の成長余力がある国の通貨です。
しかし、先進国のように成熟しているわけではないので政情不安や地政学的リスクなどは高めです。そのため急な変動が起こる可能性がある点には常に注意してください。
スワップポイントで運用するポイント
ここではスワップポイントで運用するポイントについて紹介します。
レバレッジはかけすぎない
スワップポイントを狙って長期で運用する場合は、低レバレッジにするのがコツです。FXではロスカットがあるため、一定の損失を出してしまうと強制的にポジションが決済されます。スワップポイントを長期間にわたり積み上げていきたいときは、ロスカットにならないよう低レバレッジを心がけましょう
複数の通貨ペアに分散投資を行う
分散投資は投資の基本であり、スワップポイントでの運用も例外ではありません。スワップポイントは常に一定ではないため、低下する可能性もあります。もし一つの通貨ペアに絞って取引を行っていれば、その通貨ペアのスワップポイントが低下したときに利益が減少することは避けられないでしょう。分散投資を行っておけば、ある通貨ペアで利益を減らしたとしても他方の通貨ペアでカバーできる可能性があります。
必要保証金の確認を忘れない
必要保証金(証拠金と同義)の確認はこまめにしておきましょう。トルコリラやメキシコペソなどの新興国通貨は為替変動リスクが比較的高く、急な暴落でロスカットされる可能性もあります。もちろんロスカットにより損失の拡大を防ぐことはできますが、ポジションは意思に関わらず強制的に決済されます。長期でスワップポイントを狙うのであれば余裕を持った必要保証金を意識しておきましょう。