アービトラージとは、2つの通貨の価格差を利用して利益を出す方法です。
「さや取り」や「裁定取引」とも呼ばれています。
アービトラージには大きく分けて4つの種類が存在します。
② スワップアービトラージ
③ 3通貨アービトラージ
④ ボーナスアービトラージ
目次
① FX業者間アービトラージ
FX業者間アービトラージとは、「FX業者間のレートの提示の微妙な時間差」を利用して、価格差を狙う手法のこと。
別名「レイテンシーアービトラージ」と呼ばれます。
レイテンシーとは「わずかな遅れ」という意味です。
例えば、「海外FX業者A」と「海外FX業者B」が存在します。
価格変動の反映がFX業者によって早かったり遅かったりすることで、微妙な時間差が発生します。
海外FX業者が嫌う手法のため、口座凍結のリスクが存在します。
② スワップアービトラージ
スワップアービトラージは、名前の通りスワップポイントの差を利用して利益を出す手法です。
アービトラージの中で1番メジャーな手法となります。
やり方は、スワップポイントが大きいほうで買いポジションを取り、スワップポイントが小さいほうで売りポジションを取ります。
買いと売りそれぞれ同ロットのポジションを取ることで、いわゆる両建の状態になっているので、為替レートの変動に対しては中立です。為替相場の変動による利益も損失も発生しない状態ですから、為替レートに一喜一憂する必要はありません。
両建状態ですから、一見するとマーケットリスクがありません。それでいてスワップポイントがもらえるため魅力的に感じます。しかし、本当にそうなら世の中の投資家は全員成功するはずです。ですがそうなっていないのは、スワップアービトラージには次のような落とし穴があるからです。
強制ロスカットのリスク
FXでは強制ロスカットが法的に義務付けられています。そのため、為替レートが大きく動くと、一方のポジションは損失が拡大して強制的に決済される危険があります。もちろんもう一方のポジションでは利益が出ているのですが、一方の強制ロスカットと同じタイミングで決済できればよいのですが、現実的には値動きが早く無理です。
このため、強制ロスカットされると、一方のポジションが片建て状態になり、マーケットリスクにさらされます。これを避けるためには証拠金を多めに預託しておくことですが、そうすると収益率も下がってしまいます。このバランスが難しいところです。対策として利益の出ているポジションを一旦利食って即座に立て直すという方法もありますが、取引コストであるスプレッドと、短時間ではあるものの相場変動のリスクを負うことになります。
金利変動のリスク
スワップポイントは毎日変動します。政策金利が一定ならそう大きく変動することはありませんが、毎日のチェックは欠かせません。そうしないと、気づかないうちに受け取り超過だったスワップポイントが支払い超過になっている危険もあります。
このように管理に手間がかかる割に利益率は低く、それでいて相場変動リスクがあるので、1年間コツコツ貯めた利益をたった1日でなくすことがよくあります。
両建て時点で損失、最低1~2ヶ月はマイナス
スワップアービトラージのリスクは、レバレッジによる為替変動リスクだけではありません。
FXには、売値と買値の差、スプレッドがあるわけで、スプレッド差=取引手数料がかかります。
両建てポジションをとるということは、スプレッドも2倍必要となります。そのため、最初にめっちゃ損します。
例えば、ドル円のスプレッドは0.3銭のところが多いのですが、1Lotで30円、100Lotだと3,000円の取引手数料がかかる計算です。両建てする場合は、100Lotずつで6,000円の損失が出ます。
金利の高いランド、トルコリラのようなマイナー通貨ほど、スプレッド差が開きがちなので
プラスに転じるまでに日数が必要になります。
まぁ、最低でも1~2ヶ月は継続しないと元は取れないってことです。
③ 3通貨アービトラージ
3通貨アービトラージは、別名「トライアングルアービトラージ」「三角裁定取引」などと呼ばれています。
簡単に説明すると、3つの通貨ペアの為替レートの価格差で利益を出す手法です。
しかし、多くの場合は、取引の回数が増える分取引手数料が多く発生して利益以上に手数料の方が多くなってしまいます。
④ ボーナスアービトラージ
ボーナスアービトラージとは、両建てを利用して海外FX業者から受け取ったボーナス(口座登録・入金ボーナス)を別の海外FX業者に移動させる手法です。
具体例を挙げてみましょう。
海外FX業者Aと海外FX業者Bにそれぞれ10万円を入金。入金ボーナスで20万円を獲得します。
次に海外FX業者Aでは全力買い、海外FX業者Bでは全力売り、同じ通貨・ロット数を建てます。
相場レートが変動するのを待てば、どちらか片方の口座残高は「マイナス」もう片方は「プラス」になります。
仮に急な相場変動が起きても、海外FX業者ならゼロカットシステムにより最悪「0円」となり、追証になることはありません。
両建てをしているので、もう片方は大きな利益が発生していることになります。
ただし、ボーナスアービトラージはほとんどの海外FX業者で禁止されているので注意が必要です。
海外FX業者によっては重いペナルティ
万が一不正がバレてしまった場合、海外FX業者によっては口座凍結や出金拒否など厳しいペナルティを課せられます。
アービトラージを行うときは海外FX業者の利用規約をしっかり事前に確認しましょう。
アービトラージで稼ぐの非常に難しい
素人がアービトラージで稼ぐには、大きいロット数を保有が必要なため、結局のところ数百万から数千万の自己資金がないと雀の涙くらいしか稼げないってことです。
2020年 南アフリカランド円でのFXスワップポイントアービトラージ
2020年、LIGHT FXで買いポジション、みんなのFXで売りポジションを保有した場合のアービトラージを検証します。
下の表は「10万通貨の買いポジション」と「10万通貨の売りポジション」を保有した場合の年間の利益をまとめたものです。どう思いますか?たったこれだけの利益のためにどれほどの資金がリスクにさらされていることか・・・。
買いスワップ | 売りスワップ | スワップ差 | |
1月 | +4379円 | -3480円 | +899円 |
2月 | +4228円 | -3360円 | +868円 |
3月 | +4400円 | -3230円 | +1170円 |
4月 | +2988円 | -1613円 | +1375円 |
5月 | +1296円 | -1296円 | 0円 |
6月 | +1953円 | -1953円 | 0円 |
7月 | +1830円 | -1830円 | 0円 |
8月 | +2299円 | -1870円 | +429円 |
9月 | +2301円 | -2301円 | 0円 |
10月 | +2261円 | -1772円 | +489円 |
11月 | +2162円 | -1812円 | +350円 |
12月 | +3400円 | -2504円 | +896円 |
合計 | +33497円 | -27021円 | +6476円 |