アンチマネーロンダリング(AML)とは?

マネーロンダリングに対抗する形で、日本でもアンチマネーロンダリング(AML)対応厳格化への声も高まってきています。マネーロンダリングが行われその渦に巻き込まれることは、企業や個人の方の信頼を失う危険性も高く、現在のようなSNSなど情報伝播スピードの速い時代では、風評被害などのリスクも大きくなってしまいます。

ここでは、そもそもマネーロンダリングについて言葉は知っているけど詳しくは知らないという方のために、マネーロンダリングについて見ていきながら、アンチマネーロンダリング(AML)に対する取り組みについて見ていきましょう。

マネーロンダリングとは?

マネーロンダリングとは、簡単に言うと資金洗浄のことを言います。たとえば、犯罪や麻薬の取引など不正に得た資金を、他人名義の口座や架空口座を転々と経由し、出所をわかりにくくすることで正常に得たお金と思わせる行為です。口座を転々とする間に不正なお金がキレイになる、という意味で「マネーロンダリング」と名付けられました。

金融庁のホームページではマネーロンダリングを以下のように定義しています。

「マネーロンダリングとは、違法な起源を偽装する目的で犯罪収益を仮装・隠匿することであり、例えば、麻薬譲渡人が取得した譲渡代金をあたかも正当な商品を譲渡した代金であるかのように装うため売買契約書を作成する行為、あるいは借入金、預り金等を装ってその旨の書類を作成し、あたかも正当な取引により得た資金であるかのように偽装する行為がその典型とされています」(出典:金融庁「マネーロンダリング対策」https://www.fsa.go.jp/p_fsa/fiu/fiuj/fm001.html)

年々マネーロンダリングが疑われる取引は増加をたどり、2020年には40万件近い取引がマネーロンダリングの疑いを持たれています。マネーロンダリングが行われることで、犯罪によって得られた収益が、さらなる将来の犯罪活動や犯罪組織の維持や強化に利用されてしまい、犯罪やテロリズムの増加につながってしまいます。さらに警察による検挙を逃れることができてしまうなど、国民の生活の安全を保てなくなる危険性もはらんでいます。特に金融機関は特に被害に巻き込まれる危険性が高く、徹底したマネーロンダリング対策が必要です。

日本に限らず、国際社会としてマネーロンダリングの防止・摘発を行うため、マネーロンダリング対策強化を行っていますが、マネーロンダリング対策の国際組織であるFATF(金融活動作業部会)は各国に呼びかけを行い、各国で取り締まりを強化しています。

金融活動作業部会とは?:1989年にアルシュ・サミット経済宣言に基づき設置された、国際的マネーロンダリング対策推進を目的とする国際的な枠組みを言います。メンバーにはOECD加盟国を中心として、34か国の地域及び2つの国際機関が参加しています。テロ資金供与対策も含めて各国がとるべき措置を「FATF勧告(Recommendations)」として提言しています。

マネーロンダリングの現実

マネーロンダリングは仕組みが巧妙でかつ複雑です。

「通常と異質な口座の動向」

ほとんどの企業や人にとって振込先を頻繁に変更するということはあまりありません。しかし、異なる複数の相手に対し送金申し込みがある、不明な海外送金がある、口座が乗っ取られた可能性がある、と検知された場合には、注意しなければなりません。

悪質なマネーロンダリング対策を強化するために、日本では2007年1月4日より、本人確認法(金融機関等による顧客の本人確認及び預金口座等の不正利用の防止に関する法律)が一部改正、現金によるATMでの振込み限度額は10万円まで引き下げられています。これによって、10万円を超える現金で振込みを行う場合には、窓口で本人確認書類の提示が義務付けられるようになりました。本人確認法は他の項目が追加されて、2008年3月からは「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に置き変わりました。この施策は「振り込め詐欺」防止対策のひとつとされています。

「現金での資産取得」

現金取引は資金の出所がわからなくなってしまうため、マネーロンダリングが行いやすいとされています。また実態がわかりにくい事業の会社、実質的な支配者がわかりにくい企業の口座開設は、本人確認を徹底するなどして、怪しい取引を予防する対策も施さなければなりません。

「金融機関での対策」

金融機関は特にマネーロンダリング対策やテロへの資金供与対策が課題となっています。アンチマネーロンダリングに向けたスクリーニングシステムの導入には莫大なコストもかかるため、しっかりした対策が取れていないところも多いのが現実です。
そんな中、金融機関向けのアンチマネーロンダリング対策として取られているものには「フィルタリング機能」や「モニタリング機能」といったものがあります。

フィルタリング機能では、国連や当局が保有・開示しているブラックリスト基に、資金決済のスクリーニングチェックを実行することが可能となります。
またモニタリング機能では、発生した取引を口座ごとにモニタリング、通常と大きく異なる取引を検知します。これにはAIの学習機能を用いて、取引を学習させます。金融機関ごとに異なるモデルを自動で生成でき、常に最新化を図ります。

それ以外にも金融機関では、「申込書などに記入欄のない事項について詳しく伺うことがある」「確証となる資料提出をお願いすることがある」「取引制限やお断りをすることがある」「外国籍の場合には在留資格や在留期間のわかる書面の提示をお願することがある」といったものをお客様に提示、水際対策を図る施策も取られています。

アンチマネーロンダリングに向けた金融庁の対応

マネーロンダリングおよびテロへの資金供与防止に向けて、金融庁は経済産業省との連携を強化することを2021年11月に発表しました。宝石や貴金属、クレジットカード事業者を所管する経産省との間で知見や情報を共有することにより、マネーロンダリング対策の実効性強化するのが大きな目的です。この背景には国際審査で日本における対策不足が指摘されたことが影響しており、省庁の垣根を越えた監督・監督体制となります。

マネーロンダリングおよびテロ資金対策においては、国際組織であるFATF(金融活動作業部会)が2021年8月に公表した対日審査報告書において、日本のマネーロンダリング対策を「不十分」と指摘しています。特に、従業員やシステム投資資金が限りのある地域金融機関(地銀等)における対策が問題とされたことは記憶に新しいです。

また、銀行口座などを経由する手段以外にも、資産価値が高く、持ち運びやすい宝石や貴金属といったものもマネーロンダリングには臂臑に利用されやすく、金地金は海外より無税にて持ち込まれ、日本国内において消費税分を含めて換金される手口が多数発生していました。さらに、クレジットカードも換金性が高く悪用されやすいものとして認識されています。

まとめ

アンチマネーロンダリングとしてすべきこととしては、マネーロンダリングについての正しい知識と、マネーロンダリング対策として自分には何が出来るのかをしっかり知っておくことです。自己防衛のためのマネーロンダリング対策をしっかり行い、犯罪や不正に巻き込まれないようにしましょう。

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