証拠金維持率とは「現在持っているポジションが口座残高に対してどれくらいの余裕があるのか」を示す数値です。
証拠金維持率が低くなると、強制ロスカット(強制的にポジションを決済させられる)されます。
FXでは、損失が拡大すると、不足している証拠金を追加で入金しなければならない追証のリスクがあります。
トレーダーに多額の追証が発生しないようにする意図で、強制ロスカットの仕組みがあるのです。
たとえ予想に反して損益が膨らんでも長期間ポジションを持ち続けてチャンスを狙うということができなくなる可能性あります。
取引する際には、常に高い証拠金維持率をキープしておくことで、強制ロスカットを避けられます。
FXを取引する際には、大きなポジションをとらない、口座に余裕資金を多めに入れて高い証拠金維持率を保つということが非常に重要です。
目次
証拠金維持率の計算方法とは?
証拠金維持率は、次の計算式で求められます。
有効証拠金とは、取引で実際に使うことができる証拠金の総額。
必要証拠金とは、取引に際し、1通貨あたりの必要な証拠金のことを指します。
証拠金維持率は、有効証拠金を必要証拠金で割ったものに100をかけて計算します。
また、必要証拠金の計算式は次の通りです。
コントラクトサイズとは、1ロットあたりの通貨量です。
ロットとは、基軸通貨の枚数を指します。
例えば、1ドル100円の時に10万通貨購入する場合の必要証拠金は、レバレッジごとに異なります。
レバレッジ100倍における必要証拠金の計算の仕方は、次の通りです。
(日本円換算で10万円)
また、レバレッジ500倍の場合は次の通りです。
(日本円換算で10,000円)
このように、証拠金としてFX業者へ10万円入金しておいた場合、レバレッジ100倍であれば証拠金維持率は100%。
レバレッジ500倍であれば証拠金維持率も500倍となります。
強制ロスカットとは?
強制ロスカットとは、証拠金維持率が一定以下になってしまった場合に、強制的に決済を行い損失を確定させるシステムのことです。
FXトレーダーの意思に関わらず実行される強制ロスカットですが、FXトレーダーが多額の追加証拠金を支払う可能性を低くできます。
しかし、強制ロスカットになるとポジションが持てなくなるので、「あと少し我慢することで利益が期待できる」というタイミングでも損失が確定してしまうこともあります。
強制ロスカットについて、深く理解するために、次の2つを解説します。
- 強制ロスカットの基準はFX業者によって様々
- ロスカット水準が低ければポジションを長期間持ち続けられる
強制ロスカットの基準はFX業者によって様々
FX業者は、国内外の違いや業者ごとにロスカット基準となる証拠金維持率が大きく違います。
ロスカット水準は、日本のFXだと証拠金維持率100%程度に設定されていることが非常に多いです。
一方で、多くの海外FXでは50%~0%に設定されています。
その為、海外FXの方が資金効率が高いといえます。
ロスカット水準が低ければポジションを長期間持ち続けられる
ロスカット水準が低いFX業者ほど長くポジションを持ち続け、利益を出せるチャンスを待てます。裏を返せば、予想に反した場合の損失も大きくなります。
例えば、必要証拠金20万円、FX業者へ入金済みの証拠金30万円の場合を想定します。
10万円の評価損が出れば、証拠金維持率は100%になります。
証拠金維持率に気配りしなければ、気付いた時には強制ロスカットになり、損失が確定してしまいます。
ロスカット水準100%のFX業者はこの時点で強制ロスカットとなってしまい、それ以上ポジションを持ち続けることはできません。
一方、ロスカット水準20%と低めに設定しているFX業者は、有効証拠金が4万円になるまでロスカットが発動しないので、よほど大きな評価損にならない限りは、ポジションを持ち続けることが可能です。
この意味で、ロスカット水準が低い傾向がある海外のFX業者の方が、評価損が出たとしても長くポジションを持ち続けられます。
強制ロスカットを防ぐ方法
強制ロスカットを防ぐ方法を3つの方法を紹介します。
- 証拠金維持率を高く保つ
- ポジションを持ちすぎない
- マージンコールを見逃さない
証拠金維持率を高く保つ
強制ロスカットを防ぐ1つ目の方法は、証拠金維持率を高く保つことです。
証拠金は多ければ多いに越したことはありませんが、一般的には証拠金維持率は500%以上あれば安心と言われています。
必要証拠金が、有効証拠金の5分の1程度に留まるように取引をすることを心がけるとよいでしょう。
レバレッジを調整したり有効証拠金を増やしたりすることで、証拠金維持率を高く保つことができます。
ポジションを持ちすぎない
強制ロスカットを防ぐ2つ目の方法は、ポジションを持ちすぎないことです。
トレーダーの中には、損しているにも関わらず「いつかは値上がりするかも…」といった期待でより大きな損失になってしまうことが往々にしてあります。
たとえば「損益が20%出たら損切りする」といった自分の中でのルールを持って、ポジションを持ちすぎないことが重要です。
値動きが自分の予想とは異なる方向に動いたら、ポジションを損切りし新しい取引に移す方が強制ロスカットのリスクは少なくなります。
マージンコールを見逃さない
強制ロスカットを防ぐ3つ目の方法は、マージンコールを見逃さないことです。
マージンコールとは、証拠金維持率が一定以下となりロスカット水準が近づいてきた時に「このまま行くと強制ロスカットになってしまいますよ」と通知するものです。
マージンコールがきたら、追加入金や一部決済を行い証拠金維持率を引き上げる。
もしくは、両建てを行なう必要があります。ただし、両建てにより更に大きな損失につながる恐れがあるため十分注意しましょう。