分別管理とは?

分別管理とは、投資家の資産をFX業者が自社の運営資金とは別の銀行口座で管理する資金管理方法です。
信託保全と異なる点として、分別管理では信託銀行を利用せず自社の銀行口座で管理します。

信託保全とは?
FX業者が投資家の資産を保証するため、投資家がFX業者に預けた資金を自社で管理せず、別の信託銀行に預けて管理する方法のことです。
この資産管理方法であれば、第三者である信託銀行、信託管理の弁護士の許可がなければ、勝手にFX業者が投資家の資金を出金することもできません。
もし、FX業者が倒産したときには、この第三者が責任を持って返金手続きをしてくれるので「投資家資金の流用リスク」「FX業者の倒産リスク」を回避できるのです。
日本のFX業者が義務付けられているのがこの形の「信託保全」です。

信託銀行とは?

信託銀行は、銀行に認められた「銀行業務」に加え、金銭の信託や有価証券の信託といった「信託業務」と、不動産仲介や証券代行、相続関連業務といった財産の管理・処分等に関連する「併営業務」を営むことができる金融機関です。

銀行業務

個人や法人からお金を預かる「預金業務」や企業などに融資する「貸付業務」、振込による送金など銀行口座間のお金の移動を行う「為替業務」などがあります。

信託業務

信託業務とは、個人や企業から信託を引き受け、信託財産を予め定められた目的にしたがって受益者のために管理・運用する業務をいいます。
信託では、お金だけでなく、株式などの有価証券、不動産、金銭債権など、金銭的価値のあるものであればなんでも信託することができるので、いろいろな種類の信託があります。

併営業務

遺言書の保管や遺言執行業務などの相続関連業務、企業の株主の名簿を管理する業務などの証券代行業務、不動産の売買の仲介業務などがあります。
この併営業務は信託銀行等の信託兼営金融機関にのみ認められている業務です。

この資金管理方法だとFX業者が倒産した場合に投資家への返金が保証されていないため、投資家にとって安全性が低いと言われています。

しかし、分別管理にも2種類があり、必ずしも「分別管理だから危険性」とは言えません。

2種類の分別管理

①単一会社による分別管理

単一会社による分別管理とは、投資家の資金をFX業者が完全に自社のみで管理する方法です。
この方法はFX業者にとっては資金管理コストが低いというメリットがあります。

しかし、この資金管理方法では「FX業者が投資家の資金をこっそりと会社運営に流用する」ことも事実上可能です。
こういった側面から、投資家にとっては安全性が低い資金管理方法だと言われています。

②複数会社での共同銀行口座による分別管理

複数会社での共同銀行口座による分別管理とは、外部の会社との共同銀行口座を作り、外部の会社が常に資金を相互チェックできる状態のことです。

この資金管理方法は単一会社による分別管理よりもコストがかかります。
しかし、外部の会社との共同銀行口座を使用することで、「投資家の資金を流用していない」ことを外部の会社が相互保証してくれます。

こういった事情から、分別管理の中でも「共同銀行口座による分別管理は安全性が高い」と言われています。
もちろん、複数会社間でグルになって「投資家の資金を流用している」という可能性も否定できません。

そもそも海外FX業者に信託保全の義務はあるのか?

国内FX業者は信託保全が義務化されていますが、海外FX業者に関しては信託保全が義務化されていません。
義務化されていないのだから、あえてコストのかかる信託保全を選ぶはずがありませんね。
それでは、もし利用している海外FX業者が倒産した場合、預けている資金が全て失われるのかと不安になります・・・。

実は信託保全以外にも投資家の資金を保証してくれる機関が存在しています。
それは”金融規制当局”です。ほとんどの海外FX業者は金融規制当局と連携し、政府機関が投資家の資産を保証する制度を導入しています。

つまり「金融ライセンスを取得している」ような海外FX業者であれば安心して利用できるということです。

「なら、国内FX業者のほうが絶対に安全!」と感じた方もいるかもしれませんが、実はそうでもありません。
なぜなら「分別管理or信託保全」は、基本的にそのFX業者が経営難に陥ったり潰れたりしたときだけだからです。
「資金管理形式」だけで言えば、一律で完全信託保全をしている国内FX業者のほうが安全です。
しかし、結局のところ「日常のトレードをどれくらい安全に行えるか」ということも重要ですので、海外FX業者の「ハイレバレッジができる・ゼロカットシステムあり」の方が大切だと感じています。

まとめ:資金管理の安全性については金融ライセンスによって見極める

信託保全はFX業者の資金管理方法として安全性が高く、利用者にとっても安心できる方法でした。
ただし、分別管理であっても複数会社での共同銀行口座による分別管理を行っていれば危険性は低く安心してFX取引を行えます。

また、資金管理方法も重要ですが、それ以上に重視して欲しいのが「金融ライセンスの有無」についてです。
信託保全・分別保全に関わらず、金融ライセンスを取得していない海外FX業者を利用することはおすすめできません。

金融ライセンスを取得している海外FX業者であれば、もし海外FX業者が倒産しても保証制度があるので投資資金全てを失うことは避けられます。

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